制作の舞台裏
【制作の舞台裏 第14回】人物を「設計書」で固定する ― 説明ではなく資料を渡す
第3回で「人物の顔は文章で説明しない」と決めた。説明を足すほど、AIはその文章に忠実な別人を描くからである。では、そのかわりに何を渡すのか。答えは、人物1人あたり十数枚の参照画像と、AIには渡さない設計書だった。
用意したのは、角度違いの資料だった
実際に手元にある参照画像を数えると、人物が87枚、背景が92枚あった。主要な人物には、これだけ用意している。
- ヒロイン(結衣):20枚
- 主人公(健一):17枚
- 主要な脇役:9〜16枚
1人ぶんの内訳は、全身の正面・左・右・後ろ、横顔の左右、顔のクローズアップ、そして「その人が仕事をしている姿」。ファイル名の付け方も決めてある。
坂口健一_27歳_顔クローズアップ.png 篠原結衣_50歳_アンティーク店仕事姿.png 古賀重蔵_67歳_店主姿_基本.png
なぜ角度違いが要るのか。物語のカットは、正面ばかりではないからである。後ろ姿のカットを作るとき、参照画像が正面しかなければ、AIは後頭部を想像で描く。想像で描いた瞬間、それは別人になる。
プロンプトに書くのは「動き」だけ
参照画像がそろうと、AIへの指示文は驚くほど短くなる。
Image 3 (KENICHI_REF) = 健一(52歳)。Image 3 を1ピクセルも変えず完全再現。 動作: 目を伏せる/両手を顔の前で合わせる/見上げる
見た目の情報はゼロ。書くのはどちらを向いて、何をするかだけである。背景も小道具も同じで、参照画像を指して「完全再現」と言う。
ここまでが準備の話だ。そして私たちの設計書には、この参照画像とは別に、人物の見た目を細かく書いた表がある。矛盾しているように見えるが、この2つは役割が違う。
