「中身を磨けば見てもらえる」は半分しか正しくなかった
私たちはAIを使って短い動画を25本制作し、公開してきました。映像の品質にこだわり、脚本をAIと何度も練り直し、「これだけ手をかければ見てもらえるはず」と思っていました。ところが数字を分析してみると、再生数の差は内容よりもタイトルの書き方で決まっている場面が多かったのです。
疑問形で書いたタイトルの動画は、1,000〜1,900回の再生を記録しました。一方、同じシリーズで「〜の話」「〜の理由──」のように答えを先に示す説明調のタイトルをつけた動画は、数十回にとどまりました。比率にすると5〜10倍の差です。コストはほぼゼロの「タイトルの書き方」だけで、ここまで差がつくとは思っていませんでした。
コツ1:タイトルは「答え」でなく「問い」を書く
人がコンテンツをクリックする瞬間、「この先に答えがある」という感覚が引き金になっています。研究者は「情報ギャップ」と呼ぶ現象です。身近にたとえると、テレビCMの「続きはCMのあとで」という演出と同じ仕組みです。答えを知りたくなるから、次へ進む。
タイトルに「なぜ?」「〜とは何ですか?」「〜したものとは?」を入れると、読んだ瞬間に「答えを知りたい」という引力が生まれます。実際の差をわかりやすく示すと、こうなります。
- ✕ 「〜の男が抱えた空白の話」(説明調) → 数十回
- ○ 「なぜ、〜の男が夜の街を走り出したのか?」(疑問形) → 1,245回
伝えたい内容はほぼ同じです。タイトルの形を変えるだけで、入口の広さが変わります。
コツ2:特に効くのは「行動の理由」を問う型
疑問形なら何でもよいわけではなく、私たちのデータで特に再生数が高かったのは「なぜ〜したのか?」「〜したものとは?」のように、視聴者自身には答えが分からない問いでした。登場人物(あるいはサービスや出来事)の行動や選択の「理由」を問いにする型は、再現性が高かったです。
一方、視聴者自身に問いかける「あなたは〜ですか?」の形は、クリックへの引力がやや弱い印象でした。「謎を解きたい」という気持ちと「自分のことを聞かれる」という気持ちは、クリック行動として別物のようです。
コツ3:同じ日に複数本まとめて公開しない
最初、準備できた動画をまとめて1日に6本公開したことがあります。「たくさん出した方が存在感が出るだろう」という発想でした。
結果は惨敗でした。その日公開した6本のうち、再生数が伸びたのは最初の数本だけで、残りは20〜30回前後で止まりました。それらのタイトルはどれも疑問形だったにもかかわらず、です。動画が多すぎると視聴者の注意が分散するうえ、プラットフォームも「どれを勧めるか」を迷うようで、後から出た動画には流入がほとんどつきませんでした。
- ✕ 1日6本まとめて公開 → 後発の動画は再生20〜30回(疑問形タイトルでも)
- ○ 1日1本、間隔を空けて公開 → 毎回1,000回前後が安定して続く
タイトルを磨いても、出し方が悪ければ埋もれます。これが一番効いた発見でした。
やりすぎ注意:問いを詰め込みすぎると飽きられる
疑問形が効くからといって、すべてのタイトルに「なぜ?」「〜とは?」を詰め込みすぎると、見ている人は「また同じパターンか」と感じてきます。25本の後半では、同じ型が続いて新鮮さが薄れてきたと私たちも感じました。「なぜ?」「〜とは?」「〜したものとは?」「〜したのは?」とバリエーションを使い分けることと、たまには問いではなくシーンを切り取るタイトルで変化をつけることが、長く続けるためには必要です。
まとめ:タイトルは「入口」、動画は「中身」
どんなに良い動画を作っても、タイトルが「入口」として機能しないと見てもらえません。私たちは中身を磨くことばかり考えて、入口の設計を後回しにしていました。25本を振り返ってみて、その優先順位が逆だったと気づきました。
今日からすぐ試せることは三つです。
- 「〜の話」「〜を紹介」のタイトルを「なぜ〜?」「〜とは?」に書き換えてみる
- 1日に公開するのは1本だけにする
- 問いを立てたら、動画の中でその答えをきちんと出す(問いっぱなしにしない)
よくある質問
Q. 疑問形タイトルは動画以外のコンテンツにも使えますか?
A. ブログ記事やメールの件名にも同じ効果が期待できます。「〜とは?」「なぜ〜?」という問いかけは、見出しに入れるだけでクリック率が上がりやすいことが知られています。ただし、問いを立てたなら中身でその答えをきちんと出すことが条件です。問いだけ立派で中身が薄いと、読んだ人の信頼を下げます。
Q. 1日1本を続けるのが難しい場合はどうすればよいですか?
A. 週2〜3本でも、1日にまとめて公開するよりは効果が出やすいです。大切なのは「1日に複数本集中させない」こと。本数が少なくても間隔を空けて1本ずつ出す方が、1本あたりの再生数は安定します。まず手元にある動画のタイトルを疑問形に書き換えるだけでも、試す価値はあります。
Q. AIで動画を作るには何から始めればよいですか?
A. 映像・音声・字幕とツールが複数あり、何が自社に合うかは目的によって変わります。「何を届けたいか」を先に決めてからツールを選ぶのがおすすめです。AI活用の進め方についてご相談があれば、当機構へお問い合わせください。無料相談(30分程度)をお問い合わせフォームにて承っております。
