制作の舞台裏
【制作の舞台裏 第8回】第1部のまとめ ― AI制作で本当に大事だったこと
全工程をAIでやってみて、いちばん効いたのは——意外にも、派手なテクニックではなかった。
全16章・121シーン。採用した画像677枚の裏で1,652枚をボツにし、13件の事故を記録した。第1部のまとめとして、ここまでのエッセンスを3つにまとめる。
1. 大きな仕事を、小さく割る

1つのAIに「ドラマを作って」と頼んでも、何も出てこない。私たちがやったのは、ひたすら分解することだった。
- 作品 → 章 → シーン → カット
- カット → 開始の絵・終了の絵・動き・音
- 仕事 → 脚本・画像・動画・音楽・検証・整合性監視・進行管理
判断が1つしか要らない大きさまで割ると、AIは安定する。逆に、条件を積み上げた長い指示は、どれかが必ず抜ける。しかもAIは抜けたことを申告しない。
これは業務でも同じだ。「営業資料を作って」ではなく、「この3つの実績から、課題→解決→効果の順に3行で書いて」まで割る。割る作業は人間の仕事として残る。
2. 作る人と、点検する人を分ける
作らせたAIに「これで良いですか」と聞くと、ほぼ必ず肯定が返ってくる。作った本人に採点させているからだ。
私たちは点検専用の役割を立て、作る過程を見せずに成果物だけを渡した。原作との食い違い、前のカットとの矛盾——作りながらでは気づけないものが、ここで拾えた。
そして、機械で判定できることはAIに聞かない。尺、文字数、必要な素材の有無は、プログラムで確認して、問題があれば生成そのものを止める。AIの判断を仰ぐのは、機械では判定できないところだけにした。
