ChatGPTに「AI社員」機能(ChatGPT Work)が加わり、メール・書類・資料を複数のアプリをまたいでまるごと仕上げてくれるようになりました。便利さが一段上がった一方で、現場でいちばん起きやすい事故は「うっかり渡してはいけない情報を入力してしまう」ことです。当機構は8体のAI社員で自社を運営していますが、その運用でも“何を渡してよいか”の線引きを最初に決めたことが、安心して使える土台になりました。今日はそのやり方を、そのまま真似できる3ステップでお伝えします。
なぜ「入口で分ける」だけで効くのか
理由はシンプルです。AIは渡された情報をそのまま使い、サービスによっては入力内容が保存や学習に回ることもあります。つまり“入れた瞬間”に、情報が手元を離れる可能性があるということです。だからこそ、出したあとに慌てるより、入口=入力する前に「これは渡してよいか」を分けておくのが、いちばん確実で疲れません。イメージは、金庫の鍵を厳重にするより、そもそも大事なものを玄関の外に置かないことです。
ステップ1:情報を「3色」に分ける
むずかしいルールブックは要りません。まず社内の情報を信号機の3色でざっくり分けます。
- 🟢 青(渡してOK):すでに公開している情報、一般的な相談、ひな形づくり。例=「議事録の文章を整えて」「この案内文をやさしく書き直して」。
- 🟡 黄(要注意・匿名化して渡す):社内限りの数値や個人が特定できる部分。例=売上や取引先名は伏せ字にしてから相談する。「A社」「◯◯円」に置き換えるだけで十分です。
- 🔴 赤(絶対に渡さない):顧客の個人情報、契約書の原本、未公開の経営情報、パスワード・IDなどの認証情報。
ポイントは「完璧な分類」を目指さないこと。迷ったら黄(伏せてから渡す)に寄せる、という運用にすると現場が止まりません。
ステップ2:A4一枚の「社内AI利用ルール」を作る
3色を決めたら、誰が・どのツールに・何を入れてよいかを1枚にまとめます。当機構で実際に使っている項目はこの4つだけです。
- 使ってよいツールを明記(例=ChatGPT/Claude。無料の個人アカウントに赤情報は入れない)。
- 赤情報のリスト(ステップ1の赤をそのまま貼る)。
- 困ったときの相談先(社内の担当者名)。
- 「入力前に一呼吸」の合言葉(例=“これは公開しても大丈夫?”と自問してから貼る)。
立派な規程より、全員が一度読めば頭に入る1枚のほうが守られます。
ステップ3:万一のときの「戻し方」を先に決めておく
ルールを作っても、人はミスをします。大事なのは、間違えて入力したときにすぐ戻せる手順を先に知っておくことです。
- 入力履歴を消す:多くのAIサービスは会話履歴を削除できます。
- 学習に使わせない設定にする:設定画面で「入力内容を学習に使わない(オプトアウト)」を選べるサービスが増えています。業務で使うなら最初にオンにしておきます。
- 共有範囲を確認する:AIが作った資料を共有するときは、宛先とリンクの公開範囲をもう一度見る。
現場でのつまずきポイント
- 「全部禁止」にすると誰も使わない:禁止一辺倒は形骸化します。青(OK)を広く示すことがコツ。
- 無料アカウントのまま業務利用:業務データを扱うなら、学習オプトアウトができるプラン・設定を先に整える。
- ルールを作って終わり:入社時・ツール追加時に1枚を配り直すと定着します。
まとめ:ルールは「安心して使うため」に作る
社内AIルールは、AIの利用を縛るためではなく、社員が迷わず・安心して使えるようにするための道具です。3色に分け、1枚にまとめ、戻し方を決める。この3ステップだけで、ChatGPT Workのような強力な機能も落ち着いて活用できます。まずは自社の「赤」を3つ書き出すところから始めてみてください。自社に合ったルールづくりで迷ったら、当機構へお問い合わせください。
よくある質問
Q. 立派な規程を作らないとダメですか?
A. いいえ。A4一枚で十分です。全員が一度読んで頭に入る短さのほうが、実際には守られます。
Q. 無料のChatGPTを仕事で使ってもいい?
A. 使えますが、赤(顧客情報・認証情報など)は入れないでください。業務で使うなら、入力を学習に使わない設定(オプトアウト)を先にオンにしておくと安心です。
Q. まず何から始めれば?
A. 自社の「赤」を3つ書き出すところから。渡してはいけないものが決まれば、残りは自然に青・黄へ振り分けられます。
