AIに仕事を任せるとき、多くの会社が「うちのやり方」「気をつけてほしいこと」をまとめた“前提メモ(指示書)”をAIに渡しています。ChatGPTの「カスタム指示」や、毎回コピペして渡す会社紹介の文章も同じです。実はこのメモ、放っておくと必ず太ります。今回は、私たち自身が「太りすぎた指示書」を整理した話を正直にお伝えします。
「これも書いておこう」を続けたら、指示書がパンパンになった
私たちはAIに業務を任せるたびに、失敗や気づきを「次はこうしてね」と指示書に書き足してきました。改善のたびに一行、また一行……。気づけば、AIに毎回読ませる前提メモが、びっしりと長大になっていました。
困ったのは、量が増えるほど肝心のルールが他の説明に埋もれて読みづらくなること。そして、AIが毎回その長いメモを読む手間(=動作の重さやコスト)も増えていくことでした。足し算だけを続けると、いつか必ず限界がきます。
太った指示書のデメリット
- 大事なルールが他の文章に埋もれ、AIが見落としやすくなる。
- 毎回処理する分量が増え、動作が重く・コストもかさむ。
- 人間も全体を把握できなくなり、古くなった記述が残ったままになる。
解決は「引き算」— 私たちがやった3つのこと
そこで思い切って指示書を整理しました。やったのは難しいことではなく、3つの「引き算」です。
1. 詳しい説明や過去の経緯は“別の棚”へ移す
細かい手順や「なぜこうしたのか」という経緯は、別の資料ファイルに移しました。毎回AIに読ませる必要はないからです。
2. 本体には「守るべきルール」と「詳しくはどこを見るか」だけ残す
指示書の本体は、要点(絶対に守ること)と、「詳しくはこの資料を見て」という“入口”だけにしました。地図でいえば、すべてを1枚に描き込むのではなく、目次と索引を残すイメージです。
3. 同じことが二重に書いてあれば一本化する
あちこちに同じ内容が重複していたので、一か所にまとめました。結果、本体の分量は約7割減り、見違えるほど読みやすくなりました。
大事なのは「捨てる」のではなく「移す」
引き算というと不安になりますが、コツは消す前に必ず控え(バックアップ)を取ることです。私たちも、整理する前の元の指示書をまるごと別名で保存してから作業しました。「いつでも元に戻せる」という安心があるからこそ、思い切って身軽にできます。
どのくらいの頻度でやればいい?
毎日やる必要はありません。目安は「ときどき棚卸し」=3か月に一度くらい、または「この指示書、長くて読む気がしないな」と感じたときです。何かを足すときに、古くなったものを一つ引く——これを習慣にすると、太りにくくなります。
まとめ
AIへの指示書やメモは、改善熱心な会社ほど太ります。太ると、かえってAIの精度が落ち、コストも増えます。①詳細は別の棚へ移す ②本体は要点と入口だけ ③重複は一本化——そして消さずに控えを取ってから。ときどき身軽にしてあげることが、AIにいい仕事をしてもらう近道です。
よくある質問
Q. 指示書を短くすると、AIがルールを忘れてしまいませんか?
A. 逆です。長すぎると大事なルールが埋もれて見落とされます。要点を絞り、詳細は別の資料に置いて「ここを見て」と案内する方が、かえって守られやすくなります。
Q. 何を残して何を移せばいいか、判断が難しいです。
A. 「毎回必ず守ってほしいこと」は残し、「一度読めば十分な説明・過去の経緯」は移す、が目安です。迷ったら移して様子を見る(控えがあるので戻せます)と、気楽に取り組めます。
AIの指示書づくりや、業務への上手な取り入れ方でお困りのことがあれば、当機構へお問い合わせください。
