こんにちは。一般社団法人AI活用推進機構です。私たちは事務局の日々の仕事を「AI社員」にまかせて運営しています。今回お話しするのは、その中で何度もぶつかった失敗——「『やって』だけでは、AIはちゃんと動いてくれない」という話です。
「資料を作って」と頼んだら、見当違いのものが出てきた
ある日、私たちはAIに「セミナーの資料を作って」とだけ指示しました。出てきたのは、たしかに資料の形はしているのですが、誰向けなのかも、何を伝えたいのかも、ぼんやりした文章でした。専門用語が並んでいて、肝心の「申込みボタン」を押させたい流れにもなっていません。
同じことは、ブログ記事でも、メール返信の下書きでも起きました。AIは平気で外します。しかも、それっぽい文章で外すので、ぱっと見では気づきにくい。これが一番こわいところです。
原因は「指示の解像度」が低いこと
振り返って分かったのは、悪かったのはAIではなく、こちらの指示の出し方だったということです。人間の新入社員に「資料作っといて」と言って、思い通りのものが出てくるでしょうか。出てきません。AIも同じです。
では何を渡せばよかったのか。私たちがたどり着いたのは、シンプルな3点セットです。
- やること(何を作るのか)
- 判断のものさし(誰向けで、何を達成したいか)
- 禁止事項(やってはいけないこと)
悪い指示と良い指示の違い
悪い指示の例:「セミナーの資料を作って」
良い指示の例:「福岡の中小企業の経営者向けに、AI導入セミナーの案内文を作って。目的は、申込みフォームを押してもらうこと。専門用語は使わない。煽る表現や、根拠のない数字(『売上3倍』など)は書かない。」
違いは一目瞭然です。「誰に」「何のために」を渡すだけで、AIは別人のように的を射た文章を返してくれます。これが「判断のものさし」を渡す効果です。
「禁止事項」を先に渡すと事故が激減する
もう一つ、私たちが痛い目を見て学んだのが「禁止事項」の威力です。
たとえば私たちは、社内ルールで「お問い合わせ」という言葉を使わないと決めています。ところが、そう伝えずに記事生成を頼むと、AEO・SEOの定石としてAIは平気で「お問い合わせはこちら」と書いてしまうのです。後から全文を直す手間が、毎回ばかになりませんでした。
そこで、指示文の最初に「禁止事項:お問い合わせという言葉は使わない/数字は出典のないものは書かない/個人名は出さない」と並べておくことにしました。たったこれだけで、書き直しの回数が目に見えて減りました。
人間相手だと「常識でわかるでしょ」と省略してしまう部分こそ、AIには明文化して渡す必要があります。
中小企業がすぐ試せる「指示文テンプレ」の考え方
難しく考える必要はありません。次の3行を、いつもの指示の頭につけるだけでOKです。
- 誰向け:例)40代の製造業の社長/取引先の経理担当/初めての来店客
- 目的:例)問い合わせを増やす/クレームを穏便に収める/社内に伝える
- 禁止:例)煽らない/専門用語を使わない/根拠のない数字を書かない
この3行を頭につけるだけで、出てくる成果物の質が変わります。「うちはまだAIをうまく使えていない」という方ほど、まず指示の出し方を整えるだけで、明日からの体感が変わるはずです。
まとめ
AIは、渡された情報の範囲でしか考えられません。「やって」だけでは、AIは外します。〈やること〉〈判断のものさし〉〈禁止事項〉の3点セットを意識するだけで、出てくる成果物は驚くほど変わります。社内の指示書きを、少しだけ丁寧に書き直してみてください。
AI活用の進め方について具体的に相談したい方は、当機構へお問い合わせください。福岡の中小企業の現場に合わせて、一緒に考えます。
よくある質問
Q. 毎回そんなに長い指示を書くのは大変ではないですか?
A. 一度テンプレを作ってしまえば、頭の3行をコピペするだけです。むしろ、AIの出力を直す時間のほうがずっと長くなります。最初の手間を惜しまないほうが、結果的に楽になります。
Q. 禁止事項は、どこまで細かく書けばいいですか?
A. 過去に「これを書かれて困った」という経験を、そのまま箇条書きにすれば十分です。完璧を目指さず、失敗するたびに1行ずつ足していくのがおすすめです。
Q. うちはAIに何を任せればいいかも分かりません。それでも始められますか?
A. 大丈夫です。まずは「自分が普段、新人に頼んでいる仕事」を思い浮かべてください。その指示をそのままAIに渡すところから始めると、感覚がつかみやすくなります。
