制作の舞台裏
【制作の舞台裏 第11回】9割ボツにする前提で作る
本編に使ったカット画像は677枚。その裏で1,652枚をボツにした。不採用率71%。しかもボツは全体に薄く散っているのではなく、特定のカットに山として積み上がっていた。今回は、その山を実際に数えた結果をお伝えする。
134か所を数えた結果
カットごとの画像フォルダは134か所ある。1か所ずつ、採用と不採用を数えた。
- ボツが1枚も無かったのは13か所だけ(全体の1割)
- ボツ枚数の中央値は10枚
- 20枚以上ボツにしたカットが30か所、最大は70枚
「平均2.4枚に1枚が採用」という言い方だと、少し外れる程度に聞こえる。実態は違った。半分のカットは、10枚捨ててから1枚採っている。一発で決まるほうが例外である。
これが分かると、見積もりの立て方が変わる。私たちは「1カットあたり何分」ではなく、「1カットあたり何回」で考えるようになった。所要時間は、その掛け算で出る。
ボツが山になるのは、決まって同じ場所だった
不採用が多かった上位を並べると、性格がはっきり出た。
- 70枚:第三章「おもかげ」——過去と現在が重なる場面
- 57枚:最終章「設立趣意書と逆転」——物語が反転する場面
- 52枚:第二章「健一の罪悪感と共鳴」——感情が動く場面
どれも感情の山場である。派手なアクションでも、複雑な構図でもない。「後悔」「共鳴」「逆転」——言葉で説明しにくいものほど、AIには伝わらない。逆に、机に座って書類を見る、といったカットは数枚で決まる。
ここから、着手の順番を変えた。難しいカットから先に試す。簡単なところから片づけると進捗は気持ちよく進むが、残った難所で見積もりが崩れる。難所を先に1つ通すと、その章にどれだけかかるかが早い段階で分かる。
