【制作の舞台裏 第1回】AIだけで連続ドラマを作ってみた ― 全工程を自動化して分かったこと
「脚本も、映像も、音楽も、ナレーションも、ぜんぶAIで作れるの?」——答えは「作れます」でした。一般社団法人AI活用推進機構では、AIクリエイティブラボの取り組みとして、短編ドラマ「空白を埋める者」を、ほぼ全工程AIで制作しました。
この連載「AI制作の舞台裏」では、実際にやってみて分かったことを、専門知識ゼロの方にも分かる言葉でお届けします。ドラマづくりの話に見えて、その中身は中小企業の日々の仕事(資料作り・販促・情報整理)にそのまま効く「AIの使いこなし方」です。
そもそも、何を作ったのか
福岡を舞台にした人間ドラマの短編映像です。登場人物の設定、物語の構成、各シーンの絵、動く映像、世界観に合うBGM、登場人物の声——映像作品に必要な要素を、人間が「監督」として方向を決めながら、実作業の多くをAIに任せて仕上げました。
本編はこちらでご覧いただけます 👉 【AIオリジナルドラマ】空白を埋める者
なぜ、機構がドラマを作ったのか
理由はシンプルで、「AIはここまでできる」を、言葉でなく“作品”で体感してほしかったからです。「AIは文章を書くだけでしょう?」というイメージを、実物で更新したかった。そして何より、私たち自身がAIを限界まで使い倒すことで、会員企業の皆さまに渡せる“本物のノウハウ”が貯まると考えました。
全体の流れ(ざっくり7工程)
難しそうに見えますが、やっていることは「分けて、頼んで、つなぐ」だけです。
- 物語を設計する(だれが・何に悩み・どう変わるか)
- シーンに分解する(映像を小さな“カット”の一覧表にする)
- 各カットの絵を作る(画像生成AI)
- 絵を動かす(動画生成AI)
- 音楽をつける(作曲AI)
- 声をあてる(音声合成)
- つなげて仕上げる(編集)
ポイントは、いきなり完成品を作らせないこと。大きな仕事を小さな単位に割って、AIに一つずつ頼む。これは資料作りでも提案書でも、まったく同じコツです。
一番の発見 ―「AIを“7人のチーム”にした」
最大の学びは、AIを1人の万能選手として使うのをやめ、役割ごとに分けて“チーム”にしたことです。脚本担当・絵担当・動画担当・音楽担当・全体の進行管理担当・つじつま(設定の矛盾)チェック担当…というように、AIに「あなたはこの役割だけをやって」と仕事を渡すと、品質が一気に安定しました。
これは機構そのものの運営(複数のAI社員が分担して機構を回している仕組み)とまったく同じ発想です。「AIに何でも頼む」より「役割を決めて頼む」——この一点だけでも、明日からの仕事が変わります。詳しい役割分担の設計は、次回以降でじっくり解説します。
もちろん、失敗だらけでした
きれいごとではなく、AIは平気で“それっぽい嘘”をつきます。前のシーンと服装が変わる、指定していない物が映り込む、同じ画像が二度出てくる——こうした事故を一つずつ潰すために、私たちは「我が家の絶対ルール集」を育てていきました。この“失敗から生まれたルール”こそ、この連載で一番お渡ししたい財産です。
この連載でお届けする予定
- 総論:AIだけでドラマを作ってみた(今回)
- AIを「7人のチーム」にして映像制作を回す
- AIは平気で嘘をつく ― 失敗から生まれた“絶対ルール”集
- 良い・悪いをAIに採点させる方法
- AIに世界観のBGMを作らせる
- 散らからないAI制作術 ― 命名とバージョン管理
- 画像・動画AIの“つまずきポイント”集
- まとめ ― AI制作で本当に大事だったこと
各回、無料で「考え方」を公開します。実際の指示文(プロンプト)やルールの全文といった“そのまま使える中身”は情報会員限定でお届けします。
